医療コラム

2018.11.01更新

当院の診察の様子を紹介する「今日の診察室から」。今回は、ここ最近排尿に時間がかかって困るとの主訴で受診された60歳代男性のKさんです。

Kさん「半年くらい前から、おしっこするの時間がかかります。」
私「トイレにたってからすぐに尿は出ますか?」
Kさん「いいえ、出るのに時間がかかります。出てもチョロチョロで、終わっても尿が残っている感じがします。」
私「なるほど。では、この質問票に記入してみてください。」

 

 

IPSS

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れは、排尿の状態をご自身の自覚症状に照らして評価する質問票で、IPSSと呼んでいます。特に男性では、「前立腺肥大症」の症状の評価にこの質問票が用いられています。それぞれ該当する数字の合計点で重症度をみます。合計点が0-7点で軽症、8-19点で中等症、20点以上で重症の排尿障害があると考えられます。また、QOLスコアでは、0-1点で軽症、2-4点で中等症、5-6点で重症といわれています。

・・・前立腺肥大症とは? 前立腺は精液を作る臓器で、膀胱の直下に存在します。前立腺の中をトンネルのように尿道が通っていまして、この前立腺が腫大して大きくなると、尿道を周囲から押しつぶしてしまって尿の通りを悪くします。これが前立腺肥大症です。

・・・検査は? 中等症以上の排尿障害のある方には、直腸診、尿流測定(ウロフロー)、排尿後の残尿量測定、超音波検査で、原因を判断します。場合によっては、尿道膀胱鏡(尿道カメラ)や尿道造影検査を行うこともあります。また、前立腺肥大症と診断されれば、その程度によって治療方針が変わってきます。それから、前立腺癌の有無を確認するために、血液検査によってPSA値を測定します。前立腺肥大症と前立腺癌は直接因果関係はありませんが、両方ともその病気になりやすいといわれる危険因子(リスクファクター)には共通する部分が多いので、確認する必要があると考えています。

・・・治療は? まずは薬物治療となります。前立腺肥大症になると、初めにおこる異常は尿道の緊張です。通常、排尿時にはおしっこを止めるように栓をしている尿道の筋肉がゆるんでゲートを開けます。これに同期して膀胱の収縮が起こっておしっこが出ます。前立腺肥大症では、この尿道の緊張が解けないことがまず問題となります。α1受容体遮断薬というタイプの薬は、尿道の緊張を取るのに有効です。そのほか、前立腺を含めた周囲の炎症を抑えて血流を改善する植物製剤や、漢方薬、膀胱の過敏を抑える抗コリン薬も有用です。ときに前立腺を小さくする抗男性ホルモン薬も使用されますが、通常はα1受容体遮断薬などの効果が不十分の時に使用が検討されます。 薬物治療で改善がないときや、おしっこが慢性的に詰まって出なくなっているときには、手術が必要になることがあります。尿道から内視鏡を入れて前立腺の肥大した部分を電気メスやレーザーで取り除く方法が一般的です。通常、4-7日間ほどの入院が必要になりますが、安全で確実な方法ですので、ご心配はいりません。

当クリニックでは、正確な診断を心掛け、手術が必要な患者さんには近隣の泌尿器科を紹介しています。

投稿者: 馬車道さくらクリニック

2018.10.01更新

当院の診察の様子を紹介する「今日の診察室から」。今日は、急に頻尿になったとの主訴で受診された40歳代女性のMさんです。

Mさん「昨日から急におしっこの回数が増えました。」
私「排尿時の痛みがありますか?」
Mさん「はい、特に排尿後に渋るような痛みがあります。」
私「熱は出ましたか?」
Mさん「いいえ、熱は出ていないと思います。」
私「腰の痛みはありますか?」
Mさん「腰の下の方が重い感じがします。」
私:腹部の診察をして痛みの部位を確認します。また、背中を軽くたたいて痛みが広がっていないかも確かめます。
私「それでは、尿検査をしますので、トイレをご案内します。」
・・・10分後・・・
尿を試験紙と顕微鏡で確認し、顕微鏡画像を映して結果を説明しました。
私「ご覧のように尿の中に紫に染まったツブツブがたくさん見られます。これは白血球という細胞で、感染が起きたときに見られます。よく見ると最近も見えます。細菌性の膀胱炎という診断になります。熱もないし背部にも痛みは広がっていないようですので、抗菌薬の内服で治療します。」

さて、ここでは膀胱炎の説明をしましょう。

膀胱炎の多くは膀胱の中に菌が入って中で繁殖することで生じます。症状は、排尿をするときに尿道や膀胱に痛みを感じる、尿をした後も尿が膀胱に残っている感じがする、何度も尿に行きたくなる、尿が濁る、血尿が出るなどです。通常は熱は出ません。
検査は、尿検査を行い尿中の白血球や細菌を確認します。何度も膀胱炎を繰り返す場合や、熱が出たり血尿が強い場合には、超音波検査や腹部のレントゲン検査を行うこともあります。また、細菌の種類を同定して抗菌薬の効果を確認する尿培養検査も行われます。
治療は、抗菌薬の投与を行います。通常5~7日で治癒することが多いのですが、なかなか治りにくかったり慢性化してしまうこともあります。市販されている膀胱炎の薬には抗菌作用がなく、痛みや違和感などの症状を和らげる作用が多少あるようです。これは非常に危険で、細菌が駆除できずに慢性化してしまう原因になります。必ず医療機関を受診するようにしてください。
効果注意することは? おしっこを我慢しないことが大切です。6時間以上我慢すると細菌が膀胱に侵入するとも言われているようですし、排尿により侵入しようとする細菌を洗い流す効果も期待できます。それから、水分をたくさん取ってください。1日1500ml以上の尿を出すと予防につながります。尿は本来きれいですから、ご自分の尿で膀胱を洗うつもりでたくさん水分を取りましょう。できれば、利尿作用のあるお茶がいいのですが、お水でもOKです。下腹部を冷やすことも禁物です。冷えると膀胱周辺の血液の流れが悪くなって膀胱の抵抗力が落ちてしまいます。あとは、しっかりとお薬を飲んで、体を休め、一週間ほどしたら再度尿の検査をしてもらってください。

 cystitis

投稿者: 馬車道さくらクリニック

2018.09.08更新

今日の診察室から「肌がカサカサしてかゆくなります」(60歳代女性)

当院の診察の様子を紹介する「今日の診察室から」。今回は、寒くなってくると肌がカサカサしてかゆくなるとのお悩みで受診された60歳代女性のFさんです。

Fさん「寒くなってくると、肌がカサカサしてかゆくなります。」
私「温かい時期は大丈夫なのですか?」
Fさん「はい、温かい時期は比較的いいのですが、寒くなってくるとスネや腕が特にかゆくなってきます。」
私「(スネや腕を診察して)大分かさついて粉が吹いたようになっていますね。」
Fさん「 若いころはそんなことはなかったのですが、50歳ごろからそんなふうになってきました。」
私「今までお薬はつけていましたか?」
Fさん「はい、かゆいところにつけるよう言われて、軟膏を付けていましたが、すぐにぶり返してしまいます。」


・・・皮脂欠乏症(乾皮症)と思われます。乾皮症は、皮膚の表面の脂(あぶら)が減少することにより皮膚の水分が減少して、乾燥を生じてしまう病気です。皮膚は薄い皮脂膜と呼ばれる脂の膜でおおわれていて、皮膚の潤いを保っています。この脂は年齢とともに減っていくことがわかっています。皮脂膜が薄くなると、角質層と呼ばれる表面の層がはがれてきます。すると、皮膚の奥の部分が露出して炎症を起こしたり、ひどいと湿疹になって、痛みやかゆみを感じるのです。そこを掻いてしまうと、さらに角質層がはがれて余計に症状が悪化してしまい、悪循環に陥ります。

・・・治療は  まずは、失った脂分を補充するために、保湿クリームを欠かさずに使用します。できれば、1日2回、少なくとも入浴後の肌がしっとりしている間にくまなく塗るようにしましょう。部屋の乾燥にも注意してください。お肌は清潔を保つようにしていただきたいのですが、入浴時には低刺激性の石鹸で優しく洗うように心がけてください。ナイロンタオルでゴシゴシ洗うと気持ちがいいのですが、大切な角質層がはがれてしまいますので、ゴシゴシは禁物です。


炎症を起こしてしまった部分は、しっかりと治療することが大切です。集中的に炎症を抑える塗り薬を皮膚の深くまで届くように使用します。よく使われるのが、ステロイド軟膏です。ステロイド軟膏と聞くと、副作用があって恐いという方がいらっしゃいますが、それは誤った認識です。よほど長期にわたり広範囲に使用しない限り、全身に及ぼす影響はないことがわかっています。ですから、まずはしっかりと適切にステロイド軟膏などを使用して炎症を完全に抑え込むことが大切です。

dry skin

 

投稿者: 馬車道さくらクリニック

2018.07.07更新

当院の診察の様子を紹介する「今日の診察室から」。今回は、顔のニキビがよくならないとのお悩みで受診された20歳代女性のTさんです。


Tさん「10代からのニキビがなかなか治りません。」
私「どのようなケアをしていますか?」
Tさん「まず、洗顔料でゴシゴシ洗って汚れと油を取って、入浴後はローションを付けています。」

・・・今回は青春の象徴、ニキビの話題です。
ニキビは、ご存知の通り毛穴が詰まってできる皮膚の病気です。はじめは毛穴が詰まってもなかにたまる脂分がすくないので、小さなぶつぶつとして始まります。これを、面皰(めんぽう)といいます。
面皰は俗に「白ニキビ」ともいいのうちは、毛穴の詰まりが取れれば、いつのまにはきれいになることが多いです。しかし、なかにたまった脂分が徐々に増えると、面皰は大きくなり、さらにそこにアクネ菌が繁殖すると、いわゆるニキビとよばれる状態になります。ときに赤くはれ上がって、「赤ニキビ」になると、痛いし気になるし、なかなか厄介です。皮膚科では専門的な知識に基づいて病態に合わせた治療を行っています。ここでは、その一端をご紹介します。

1.洗顔
洗顔って、「とにかくしっかり汚れと油を落とせばいいんでしょう」って思っている方が多いのですが、洗顔に落とし穴があるのをご存知でしょうか。ゴシゴシ洗えば、ニキビは悪化します。しっかりと泡立てて、やさしく泡で洗ってください。ゴシゴシしたら皮膚が傷ついて、皮膚のバリア機能が損なわれてしまいます。
2.保湿
ほとんどの皮膚のトラブルは、皮膚を覆っている皮脂膜の欠乏から始まります。ニキビだって例外ではありません。洗顔の後はしっかり保湿してください。ニキビ肌用の保湿クリームやローションも市販されています。
3.薬剤塗布
ここからが皮膚科の薬になります。毛穴の詰まりを溶かし出す薬を薄く塗ります。始めは少しヒリヒリしますが、1カ月頃から効果が表れてきます。目標は3カ月です。
4.抗菌薬塗布
「赤ニキビ」には抗菌薬を追加塗布します。毛穴のつまりを溶かしだすと、抗菌薬が浸透しやすくなりますので、効果も出やすいです。
5.抗菌薬内服
「赤ニキビ」が多発しているときは、抗菌薬の飲み薬を飲んでいただきます。

当クリニックでは、洗顔やスキンケアの方法から治療の実際までビデオを使って説明し、皆様のニキビの悩み解消のお手伝いをさせていただきます。

acne

投稿者: 馬車道さくらクリニック

2018.04.01更新

http://www.bashamichisakura.com/asset/OABSS%20for%20print.pdf当院の診察の様子を紹介する「今日の診察室から」。今回は、急に尿意を感じて我慢ができなくなったとの主訴で受診され50歳代女性のSさんです。

Sさん「1年くらい前から、急に尿意を感じて我慢ができない感じになりました。」
私「水の音を聞いたり冷たい水に触れたときに、急にトイレに行きたくなりますか? 」
Sさん「はい、以前からそのような傾向はあったのですが、最近特にひどくなりました。」
私「ほかにはどのような時に尿意が出ますか?」
Sさん「帰宅時に玄関のドアを開けようとカギを探しているときに急に我慢できなくなったり、トイレに行ってはいけないと思うと余計気になります。」
私「トイレが気になって日常生活に支障が出ていますか?」
Sさん「ええ、好きな旅行も観劇も最近は控えるようになっています。いつもトイレのことばかり考えてしまいます。」

膀胱が過敏になっているようです。過活動膀胱が疑われます。以下の質問票(過活動膀胱症状質問票OABSS)の質問3が2点以上、かつ、合計が3点以上で過活動膀胱の疑いと診断されます。

OABSS

<OABSS質問票を印刷する>

原因は? ・・・過活動膀胱は、膀胱が知覚過敏を起こしている状態をいいます。神経が問題だったり、骨盤の筋肉が弱くなることが原因だったり、あとは、季節の変わり目とかストレスだったりとか、我慢しすぎた後遺症だったり、様々です。

検査は? ・・・まずは、膀胱炎と間違えないようにしないといけません。膀胱炎でも似た症状が出ますから。尿検査をおこなって、膀胱炎がないことを確認します。それから、超音波検査などで膀胱に結石や腫瘍がないことを確認しておきます。たまに、尿管結石が膀胱付近まで落ちてきて似た症状が出ることがあります。あとは、残尿の有無を確認する必要があります。これは、最近では超音波を使って簡単にチェックできます。 また、一日の排尿回数と排尿量をチェックすることも診断に有用です(排尿日誌)。ときどき、必要以上に水分を取っていらっしゃる方がいます。排尿日誌で膀胱の過敏なのか水分の取りすぎなのかが判断できます。

治療は? ・・・年だからとあきらめてはいけません。必ずよくなります。最近はいくつもの薬が使えるようになっていますので、症状と体質に合った薬を主治医の先生と一緒に探していきましょう。また、軽度の場合には、排尿を我慢する練習をするのも効果的です。排尿日誌をつけるだけで治ってしまう方もいます。重大な病気が隠されていないかを確認したら、あとは焦らずに治していきましょう。

投稿者: 馬車道さくらクリニック

2017.06.22更新

A3.アトピー性皮膚炎の方の皮膚は、バリア機能が弱まり、水分が外へ出てしまっているため、乾燥しています。ですので、保湿しながら、並行してステロイド剤の使用をおすすめしています。
しかし、ステロイド剤を使用する場合は、完全に医師の指導のもとできちんと使うことが重要です。乾燥を防ぎ、皮膚のバリア機能を正常に保つためのスキンケアで外部からの刺激物質の侵入を防ぐとともに、しっかりと治していきましょう。また、部屋の中を清潔に保つ、布団を羽毛や羊毛の綿ではなくダニがつかないポリエステル綿に変える、肌触りの良い服を着るといった、日常生活における工夫も必要です。
アトピー肌の方はアレルギーに対して敏感になっていますので、ホコリにも十分注意しましょう。

投稿者: 馬車道さくらクリニック

2017.06.22更新

排尿した後はすっきりしてすぐに眠れる、日中に水分をとってもあまりトイレに行かない、というのは夜間頻尿の症状です。
夜間頻尿とは、夜布団に入ってから尿意で目が覚めてしまう症状で、一晩に2回以上あると注意が必要です。この患者さんは、夜に尿意で目が覚めるようですが、よく聞くとおしっこの量が多くて排尿後にすっきりとしてしまうようです。この場合、夜間の尿量が増えてしまうのが原因であることが多いです。

・夜間頻尿の検査
まずは、膀胱炎や膀胱結石、膀胱がん、男性では前立腺肥大症などの病気がないかを超音波検査や尿検査で確認します。前立腺癌の疑いがあれば、血液検査をしてPSAを測定することがあります。また、排尿後の残尿を確認することも重要です。
これらの検査で原因の病気がはっきりすれば、その治療を行います。また、夜間の尿量が増えてしまう場合には、薬が効かないことはあります。そのよう場合には、以下の排尿日誌をつけていただくと、ご自身の排尿パターンが明確になって治療に大いに役立ちます。

(排尿日誌挿入)

・夜間頻尿の原因
まず、水分の取りすぎが考えられます。昨今、「健康のためにお水をたくさん飲みましょう」ということをよく聞きます。でも、飲みすぎは禁物。おしっこが増えてしまうばかりか、むくみの原因になったり、心臓に負担がかかったりすることもあります。
「若いころは10時間寝ても、その間トイレに行かなくて済んだのに…」
そう思っている方もいらっしゃることでしよう。ではなぜ、歳を取るとおしっこが近くなるのでしょうか。夜間は尿を濃くして尿量を減らすホルモンが分泌されています。それが、加齢とともに減ってしまったり、分泌するタイミングがずれてしまって、夜間の尿量が増えてしまうといわれています。
尿は血管の中を流れる血液の量を感知してつくられます。血液が多いと、量を減らすために尿をつくって血液量を調節するのです。血管はゴム管と違って水分を通します。加齢とともに、血管も年を取って水分を通しやすくなってしまいます。すると、気が付かないうちに血管の中の水分が漏れて、ときにむくみになって現れたりします。そのもれた水分が夜間布団に横になると血管内に戻ってきます。すると、血液量が増えてきますから、それを調節するために尿が多くつくられて尿量が増えてしまいます。

・夜間頻尿の治療
生活習慣の見直しが重要です。水分の取りすぎなど、思い当たる節があれば改善します。排尿日誌が大変参考になります。頻尿改善薬もよく使用されます。この薬は、膀胱の過敏を取って膀胱の容量を大きくすることができます。
睡眠を助ける精神安定薬や睡眠薬が有効なこともあります。眠りにはリズムがあり、眠りが浅くなったときにその都度目が覚めしまい、習慣的にトイレに立つ方がたくさんいらっしゃいます。この場合には、少し眠りを深くしてみると、その悪習慣から脱却できることも多いです。精神安定薬や睡眠薬は使用に抵抗があるという方もいらっしゃいますが、ごく弱い薬で十分な効果が得られることも多いので、担当の先生とよくご相談ください。

投稿者: 馬車道さくらクリニック

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