排尿した後はすっきりしてすぐに眠れる、日中に水分をとってもあまりトイレに行かない、というのは夜間頻尿の症状です。
夜間頻尿とは、夜布団に入ってから尿意で目が覚めてしまう症状で、一晩に2回以上あると注意が必要です。この患者さんは、夜に尿意で目が覚めるようですが、よく聞くとおしっこの量が多くて排尿後にすっきりとしてしまうようです。この場合、夜間の尿量が増えてしまうのが原因であることが多いです。

・夜間頻尿の検査
まずは、膀胱炎や膀胱結石、膀胱がん、男性では前立腺肥大症などの病気がないかを超音波検査や尿検査で確認します。前立腺癌の疑いがあれば、血液検査をしてPSAを測定することがあります。また、排尿後の残尿を確認することも重要です。
これらの検査で原因の病気がはっきりすれば、その治療を行います。また、夜間の尿量が増えてしまう場合には、薬が効かないことはあります。そのよう場合には、以下の排尿日誌をつけていただくと、ご自身の排尿パターンが明確になって治療に大いに役立ちます。

(排尿日誌挿入)

・夜間頻尿の原因
まず、水分の取りすぎが考えられます。昨今、「健康のためにお水をたくさん飲みましょう」ということをよく聞きます。でも、飲みすぎは禁物。おしっこが増えてしまうばかりか、むくみの原因になったり、心臓に負担がかかったりすることもあります。
「若いころは10時間寝ても、その間トイレに行かなくて済んだのに…」
そう思っている方もいらっしゃることでしよう。ではなぜ、歳を取るとおしっこが近くなるのでしょうか。夜間は尿を濃くして尿量を減らすホルモンが分泌されています。それが、加齢とともに減ってしまったり、分泌するタイミングがずれてしまって、夜間の尿量が増えてしまうといわれています。
尿は血管の中を流れる血液の量を感知してつくられます。血液が多いと、量を減らすために尿をつくって血液量を調節するのです。血管はゴム管と違って水分を通します。加齢とともに、血管も年を取って水分を通しやすくなってしまいます。すると、気が付かないうちに血管の中の水分が漏れて、ときにむくみになって現れたりします。そのもれた水分が夜間布団に横になると血管内に戻ってきます。すると、血液量が増えてきますから、それを調節するために尿が多くつくられて尿量が増えてしまいます。

・夜間頻尿の治療
生活習慣の見直しが重要です。水分の取りすぎなど、思い当たる節があれば改善します。排尿日誌が大変参考になります。頻尿改善薬もよく使用されます。この薬は、膀胱の過敏を取って膀胱の容量を大きくすることができます。
睡眠を助ける精神安定薬や睡眠薬が有効なこともあります。眠りにはリズムがあり、眠りが浅くなったときにその都度目が覚めしまい、習慣的にトイレに立つ方がたくさんいらっしゃいます。この場合には、少し眠りを深くしてみると、その悪習慣から脱却できることも多いです。精神安定薬や睡眠薬は使用に抵抗があるという方もいらっしゃいますが、ごく弱い薬で十分な効果が得られることも多いので、担当の先生とよくご相談ください。

馬車道さくらクリニック